Chondromodulin-II に関する研究

   骨・軟骨組織の形成と代謝は、軟骨細胞、破骨細胞、骨芽細胞をはじめ種々の細胞の相互作用を伴った巧妙で複雑な過程である。これらの細胞の振る舞いは互いに連動し、様々な因子の働きにより秩序だって制御されていると考えられている。

我々は、軟骨細胞の増殖を促進する活性を指標として、ウシ胎仔骨端軟骨抽出物から新規分泌性因子Chondromodulin-II (ChM-II)を精製・同定した1。これまでの解析から、ChM-IIは骨芽細胞の増殖や破骨細胞の分化を促進することが明らかになっており、軟骨代謝だけでなく骨代謝にも関与している可能性が示唆されている2。また、意外なことに、ChM-II遺伝子は軟骨ではなく肝実質細胞で特異的に発現していた2。従って、ChM-II蛋白質は肝臓で合成後、血中に分泌され、何らかのメカニズムを介して軟骨基質中に蓄積すると考えられる。

現在、我々はChM-IIの生理機能、軟骨への局在機構、肝臓特異的なChM-IIの転写制御機構を解明するために、培養細胞や小型魚類胚を用いて分子生物学的解析を進めている。肝疾患の合弁症として骨粗鬆症などが知られており、肝臓由来因子の骨・軟骨制御における重要性と疾患への関与が指摘されている。ChM-IIは肝臓と骨・軟骨組織を仲介する因子の一つと考えられ、その機能の解明は、肝疾患合弁症の病態解明や治療応用にも繋がる可能性が期待される。

1. Hiraki et al. (1996) J Biol Chem 271(37) 22657-62.

2. Shukunami et al. (1999) J Biochem(Tokyo) 125(3) 436-42