ニワトリ胚を用いた血管網の形成に関する研究

 発生過程においては,血管新生促進因子と血管新生抑制因子の発現が,時間的にも空間的にも巧妙に制御されることによって,秩序立った組織血管化が実現されると考えられる.我々は,胚操作の容易なニワトリ胚の卵黄静脈から墨汁を注入することにより,簡便に血管系を可視化するモデルを構築した(1,2).また,墨汁を 注入したニワトリ胚のwhole mount in situ hybridization を行うことにより,血管新生に関与する遺伝子と血管網の 確立過程を詳細に検討することに初めて成功した(1).これまでに,この方法を用いて,ニワトリ胚ではChM -I が軟骨だけでなく,体節・脊索,神経管の蓋板と底板,鰓弓,房室間の心内膜床などに発現し,これらの発 現部位はいずれも血管網が分布しない無血管領域であることを明らかにしている.また,HH stage 14-15 の側 板中胚葉にエレクトロポレーションによってVEGF を導入し,透過性の亢進した血管網の増生を墨汁によって 可視化することにも成功しており,血管新生制御に関わる因子の役割を解析する非常に有用な系であることを示すことに成功した.


 図1
 図2