ケモカインの血管形成・体発生・免疫系における作用とその分子機構

臓器特異的な血管の形成機構

 近年、受容体チロシンキナーゼ(FLK-1, Flt-1, Tie-2など)とそのリガンド(VEGFやAng-1)が血管形成に必須であることが明らかとなり、多くの研究が行われています。私たちは、これらの分子と異なる性質を持つサイトカインで、7回膜貫通G蛋白質結合型受容体(CXCR4)を用いるケモカインSDF-1/PBSFも血管形成に必須であることを見い出しました。しかも、これらの分子は、胃腸管という臓器に分布する大型の血管形成に特異的に作用することから、臓器により、その血管新生には異なる分子機構が働いていることが明らかになりました。

 私たちはケモカインの血管形成における作用機構や相互作用する分子を研究し、臓器特異的な血管形成の分子機構の解明をめざしています。この他、癌など疾患に関与する血管形成におけるケモカインの関与も解析しています。

ケモカイン受容体CXCR4を介した細胞内情報伝達機構

 ケモカインは、多くの重要な機能をもつことが明らかになってきていますが、その生理機能発現を担う細胞内情報伝達機構は、明らかではありません。私たちは、発生・再生におけるケモカイン受容体CXCR4を介した細胞内情報伝達機構を解析しています。

ケモカインの器官形成における未知の役割

 発生過程で細胞の移動、定着が重要である細胞として、血液細胞の他に生殖細胞、神経細胞、神経堤細胞、筋芽細胞など数多くが知られています。近年、CXCL12とCXCR4がマウスの生殖細胞の発生過程における移動・定着にも重要であることが明らかになり、この他、肺・腎・小腸上皮をはじめとして、ケモカイン・ケモカイン受容体を強く発現する臓器は少なくありません。私たちは、これらの発生過程におけるケモカインの役割を検討しています。

ケモカインCXCL12とその受容体CXCR4の生体防御・疾患における役割

 CXCL12(SDF-1/PBSF)またはCXCR4は、成熟リンパ球や血球細胞、疾患局所おいても強い発現が認められます。例えば形質細胞は、Bリンパ球が最終分化したもので、抗体産生に特化し免疫記憶に関係すると考えられており、CXCL12が形質細胞の骨髄への定着に必須であることが明らかとなっています。 また、CXCL12・CXCR4は、エイズ・乳癌の転移・白血病や自己免疫疾患の病態に重要な役割を果たしている可能性が報告されています。私たちは、細胞の移動・定着・生存の制御に注目し、成体の免疫反応や各種病態形成における、CXCL12・CXCR4の関与を解析しています。

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