複数の深度に焦点があっている画像を
作製する方法

ここではImageJという無償配付されているソフトウェアを使って、多数の焦点深度をもつ画像をつくる方法を紹介します。(by 入江 直樹)
ImageJはJavaで書かれているので、Java RuntimeさえあればWindows, Mac OS9, OSX, Linux でも使うことができる優秀なソフトウェアです。
Image Jで作った画像を研究報告等で使われる場合は、開発者のためにも"Image Jを用いて作製しました"との諭旨を記載をするようにしましょう。

例えば、複数の被写体が並んだ画像が(ここではjpgファイル)があるとします。
この画像では、一番手前にあるオットセイの一部に焦点があっているので、ペンギンはぼんやりとしか写っていません。オットセイの奥に見えるイルカに至ってはほとんど焦点が合わず、ピンボケの状態です。

ここで紹介する方法はこういったピンボケを補正してしまう方法です。もう少し正確な表現をすると、焦点深度が異なる画像を複数用意し、ピントが合っている部分だけ抽出して重ね合わせてしまうことで多焦点画像をつくる方法です。

では早速つくってしまいましょう。。。といきたいところですが、その前にキレイな画像をつくるための工夫が必要です。

まずできるだけいろんな深度で焦点があった画像を用意します。3〜5枚程度あれば、それなりに良い画像をつくる事ができます。
デジカメならマニュアルモードでフォーカスを変化させて撮影します。それぞれの画像を撮影した撮影点が大幅にズレていると後で重ね合わせても歪んだ画像しか作ることができなくなってしまうので、できるだけ撮影点を同じにして下さい。(実体顕微鏡などではどうしても撮影点の違いによる視差が出てしまいますが、ある程度は後に述べる方法で解決できます。)

今回は3枚用意しました(左)。

では
Image Jを起動して下さい。(Image J は無償ソフトウェアです。リンク先のDownloadsというところからお使いのOSに合ったバージョンをダウンロードしてインストールして下さい。英文サイトですが手順は非常に簡単です。)

起動したら、メニューから[File]→ [Open...]を選び、クリックすることで用意した画像をすべて開けて下さい。(ここでは左の3枚)

次にこれら画像をひとつのファイルにまとめてしまいます。(stackと呼ぶ操作です。)
メニューから
[Image]→[Stacks]→[Convert Images to Stack]を選び、クリックします。
(Mac OSXの場合、操作画面はこんな感じになります↓)
うまくstackできたら、左のようなひとつのファイルになると思います。ウィンドウ下にはスライドバーがあり、これを左右に動かすことで、Stackしたすべての画像が連続静止画としてみることができます。

実際にファイルを作製して、バーを左右に動かしてみるとわかりやすいのですが、たいていは、3枚の画像がガタガタとズレている状態です。撮影した時に撮影点が少しずつ違ったためです。このままピントがあった部分だけを抽出して重ね合わせた画像をつくるとかなり歪みの多いものになってしまいます。

この画像間のズレを補正してからでなくては、最終的にうまくいきません。そこで活躍してくれるのがTurboregStackregというImage J 用の二つのpluginです。
以下の作業に入る前に、stackして作製したファイルを保存しておきます。ここでは保存形式はTIFFを選択します。

ではTurboregとStackregの使い方に移りましょう。これらプラグインをお持ちでない方は、リンク先からお使いのOSに合ったファイルをダウンロードし、適当な場所に解凍して使ってください。解凍すると、turboregとstackregというフォルダができると思います。これらのフォルダをImage Jの[Plugins]という名前のフォルダにそのまま移動させれば準備OKです。ここで一度Image Jを再起動します。

完成までもう一息です。このステップでは、Stackした画像をそれぞれ少しずつ変形(transformation)させて、互いにズレのない画像にします。

[Plugins]→[stackreg]→[stackreg]からstackregを起動し、変形方法を選びます(左)。今回は"Affine"を選びましたが、詳しい方法については、stackregの開発サイトを参照下さい。変形方法を選び、(OK)ボタンをクリックすれば変形完了です。

今回の3枚の画像は互いにズレが少なかったのですが、stackregの開発サイトに載っているように、画像間のズレが相当激しくてもうまく変形して補正してくれることがわかります。本当に優秀なpluginです。できたファイルは保存しておきます。(TIFF形式)

いよいよ最後の操作です。ここまでの操作で作製したstack画像をもとに、焦点のあっている部分だけを抽出して重ね合わせれば完成です。

またもここで無償配付のImage J用pluginが使えます。
StackFocuserExtended Depth of Fieldです。詳しく調べれば他にも同様のpluginがあるかもしれませんが、私がいつも使うのはこの2つのpluginです。

早速、それぞれのリンク先からDownloadしてインストールして下さい。どちらもinstallは簡単です。ファイル(あるいはフォルダ)をダウンロードし、Image Jの「plugins」という名前のフォルダにそのまま移動させるだけです。ではImage Jを再起動して最後の操作に移りましょう。

例のごとくImage Jを起動し、先程保存した変形修正後のStack画像を開いて下さい。
StackFocuserもExtended Depth of Fieldも基本的な使用方法は上述したPluginと同じです。それぞれメニューから
[Plugins]→[StackFocuser]
[Plugins]→[Extended Depth of Field - Fusion...]
選べば、詳細な補正方法が出てくるはずですので、開発サイト等を参照してパラメータを設定し、実行して下さい。
(パラメータの設定によってはスペックの高いマシンでも数分かかることがありますが、辛抱強く待って下さい。)
StackFocuserとExtended Depth of Fieldのどちらが補正に適しているかは、画像の種類や補正の目的(例えばparticleカウントなど)に依存するかと思われますので、ここでは完成例を挙げるにとどめます。

詳細な説明は省きますが、今回ご紹介した方法では基本的に画像中のエッジを抽出することで補正を行っていますので、実空間での遠近距離が小さい蛍光顕微鏡像などにも応用可能です。