本年は、再生医科学研究所が設置されて10周年に当たり、記念すべき年です。この10年、再生医科学研究所は、幹細胞研究、再生医学の生物学的基盤研究、再生医工学の分野で活発な研究を展開し、多くの誇るべき業績を挙げてきました。当研究所は、10年前、ようやく再生医学・医療に関心が高まり、「再生医学・再生医療の学理および応用研究」を標榜する本邦初の研究所として設立されたわけですが、設立当時、研究所の名前をどうつけるかについて議論がありました。これは、当研究所の正式名が、何故、日本語では「再生医科学研究所」なのに、英語名では「Institute for Frontier Medical Sciences」であって、「Institute for Regenerative Medicine」ではないのか、に関係しています。当時の議論は、当研究所が学際的で独自性の高い研究を標榜するならば、自らの学問分野を狭く限定するような名前はよろしくない、というのが一点、もう一点は、たとえ医学医療、広くは社会の関心が再生医学・再生医療から離れていっても重要な研究を持続的に展開し、しかも必要とあらば研究所の方向転換も考える、そのためには「Institute for Frontier Medical Sciences」という極めて一般的、包括的な名前を掲げつつ、日本語名は変えてもよい、というものでした。研究所設立時の社会的状況、研究者の気概と、その後の研究所の着実な前進、発展を考えますと感慨深いものがあります。