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現在の研究について

肺実質再生の試み

 呼吸器グループでは、肺気腫や肺線維症など、現在もなお有効な治療法の確立されていない呼吸器疾患に対する、細胞を用いた治療の可能性について研究しています。細胞のソースとしては、多分化能が期待され、自己細胞が利用可能な、骨髄細胞を使用しています。

ブレオマイシンという抗癌剤には、合併症として肺線維症を引き起こす作用のあることが知られています。このブレオマイシンをラットに投与して、肺線維症モデルを作ります。肺線維症となったラットの多くは、4週間程度で死んでしまいます。一方、ブレオマイシンを投与してから3から7日後に、事前に採取し培養した、自己の骨髄細胞を経気道的に投与すると、死亡するラットの数は少なくなります。

肺線維症では、線維化の進行に伴って、肺での膠原線維の過剰な増殖が起こります。この膠原線維の定量的な測定を行うと、ブレオマイシンで肺線維症となったラットの肺では、正常ラットの2倍近く膠原線維が増えていることが分かります。一方、ブレオマイシン投与後に骨髄細胞を投与したラットでは、骨髄細胞を投与しないラットに比べ、膠原線維量が減少していることが示されました。この事から、骨髄細胞は線維増生を抑制する可能性があると考えられます。

骨髄細胞がどうやって線維化を抑制しているのか、投与された骨髄細胞は肺の中でどのように変化していくのか、については、現在研究中です。興味深い現象として、投与された骨髄細胞のうち、ごくわずかなものは、肺胞上皮の特徴を示すことが免疫染色によって確認されています(図)。

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