京都大学 再生医科学研究所 器官形成応用分野 Department of Organ Reconstruction, Institute for Frontier Medical Sciences, Kyoto University English
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研究概要
■沿革

1998年、京都大学医学部外科講座から井上一知前教授が研究室のメンバーとともに設立直後の本研究所に移って研究を続けられた。井上教授の研究グループは、1980年代後半から、膵島移植・バイオ人工膵島・膵再生などの革新的な糖尿病治療法を鋭意研究してきた。井上教授は日本膵・膵島移植研究会の会長を歴任され、2002年には第1回日本再生医療学会を開催された。2003年に井上教授が退官された後、角昭一郎が准教授として研究室を引き継いでいる。

■研究概要

当研究室のミッションは、内分泌・代謝疾患に対する再生医療を研究開発することで、中でも糖尿病の治療法開発に注力している。
糖尿病は先進諸国で罹患率・死亡率が高い重要な疾患であり、その患者数は全世界で2011年に3億6600万人、2030年には5億5200万人にもなると推定されている(International Diabetes Federation, Diabetes Atlas, 5th Edition, 2011)。糖尿病は急性の高血糖による症状に加えて、慢性の高血糖により進行する微小血管病変によって、腎症(腎不全)・網膜症(失明)・神経症(無痛症などの知覚異常)・壊疽(四肢切断)に至る重大な疾患である。このため、糖尿病を治療する普遍的な治療法の開発は緊急の課題と考えられている。
この目標に向かって、現在我々は以下のような研究を行っている。

1. バイオ人工膵島:膵島や体外で作製した膵島様細胞を、免疫抑制を行う事無く同種移植あるいは異種移植することができる。図1は、膵島あるいは膵島様細胞を半透膜あるいはゲルで包んだバイオ人工膵島の原理を示す。


  図1

私どもは、凍結・解凍法を用いたポリビニルアルコール(PVA)マクロカプセル化膵島の作製法を独自に開発し、その有用性をラットやマウスの実験で示している。PVA水溶液は低温でPVAが微細な結晶を形成してゲル化する。これと膵島凍結保存技術を組み合わせてこの方法を編み出した。
現在は、将来の臨床応用を目指してPVA-マクロカプセル化ブタ膵島の作製を研究しているところである。図2は、PVA-マクロカプセル化ラット膵島の写真である。


  図2

2. 膵島様細胞の分化誘導・作出:糖尿病治療に応用可能な細胞資源の樹立を目指して、ES細胞、iPS細胞や各種の体性幹細胞(膵臓由来幹細胞様細胞、骨髄由来間葉系幹細胞と膵島細胞の融合細胞)を研究している。図3は、マウスES細胞から作製した膵島様細胞塊、図4は、間葉系幹細胞と膵島細胞の融合細胞を示す。

図3
図4

3. 血管新生の研究:私どもは膵島あるいはマクロカプセル化膵島を皮下移植する部位として、皮下に血管新生を誘導する方法を開発している。現在は、PVA-マクロカプセル化膵島の皮下移植に特化した血管新生誘導法の開発に取り組んでいる。

4. 全身糖代謝シミュレータ:機械式の人工膵臓でモデル予測に基づく制御が行えるようなシミュレータの開発研究にも着手している。

5. その他:PVA-マクロカプセル化や細胞融合の技術を、肝細胞など他の細胞に応用する研究も計画中である。

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